社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「……んっ」
喉の渇きで目が覚めた。いつもの見慣れた天井を見て、手探り手元に置いてある時計を手にする。少し体はだるい気がしたが、二日酔いのような頭痛や胸のむかつきもない。
案外私、お酒飲めるのかもしれない。これからはもう少し色んなお酒に挑戦するのもいいかな。
「まだ、七時半か……もう少し寝よう」
二度三度と寝返りをうち、惰眠を貪ることにした。
今日は土曜日だ。もう少し寝ていたところで誰にも怒られないし。それに昨日は飲み会でお酒も飲んだし、帰って来てからは衣川課長が……。
「あっ! 課長」
私はベッドから飛び起き、部屋を出ようとする。しかし鏡に移った自分の姿を見て愕然とする。
服は昨日のままで、メイクもそのまま。髪の毛はボサボサでとても見られたものじゃない。あのまま——衣川課長の横で日本酒を飲みながら寝てしまったんだろう。そこまでは理解できる。
でも、この二階の私の部屋まで誰が運んできたんだろうか。父は私を抱きかかえて階段を登れるなんてことは、出来ないだろう。もちろん母も無理だ。……ということはそれが出来た人はひとりしかいない。
——衣川課長だ。
自分で答えを導き出し、その場に頭を抱えて座り混んだ。
なんてことだろう。送ってもらって、迷惑をかけて、挙句の果てに眠りこけてベッドに運んでもらうなんて。恥ずかしくてどんな顔して月曜日に出社すればいいのだろう。
鏡に映った私は、これ以上ないくらい残念な顔をしていた。
とりあえず、シャワーでも浴びて頭をすっきりさせないと。それから来週の身の振り方を考えよう。今日が土曜日でよかった、対策を立てる時間は十分ある。