社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~

上司と休日まで一緒だなんて、普通は気が重いはずなのに、不思議だ。

「河原、本当によく頑張ってるな」

「え、なにをですか?」

急に話しかけられて間抜けな返事をしてしまう。

「仕事に決まってるだろう。部屋のテーブルの上にあったの、うちの製品カタログだろう。しかも三年前のやつだ」

「あ、はい」

確かに三年前のカタログを自宅に持ち帰って確認していた。

「あれ、今入れ替えの提案しているところのだろう。現行の機種のカタログだ」

「はい。今どんな機械使ってるのかなぁって。少しでも知識があれば、受注の処理をするときになにか抜けがあっても気がつけるかと思って。あ、別に営業さんを信用してないってわけじゃないですよ。でも、知っていたほうが後々も便利だと思うし」

「わかってる。付箋が何箇所も貼ってあった。努力してるんだな」

「努力っていうか、まぁ。頑張ってます。それより、部屋見ちゃったんですね」

「あぁ、悪かったな。でも、緊急事態だ」

別に見られて困るほど散らかっていたわけではない。だけど、小学生から使い続けている机やくたびれたぬいぐるみなどあまり見られたくないものもあった。

「お前らしい部屋だった」

「そ、それって子供っぽいってことですか?」

その自覚があるぶん、恥ずかしくなる。
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