社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
『朔ちゃん、明日時間あるならランチできる?』
そんなメールが届いたのは、ふわふわと落ち着かない時間を自宅ですごしていた夜のことだった。
あの後、食事を終えると衣川課長とは駅で別れた。
しかしあれから時間が経ってもふとした拍子に昨日からのことを思い出してしまう。そのたびにニヤけてしまう顔を元に戻すのが大変だ。
部屋でテーブルの上のパンフレットを見る。せっかく褒められたのだからしっかり吸収したい。けれどやっぱり衣川課長の顔が思い浮かんできて集中できない。
汐里さんからのメールが届いたのがそんなときだった。
お休みの日にいきなり誘われるなんて珍しいな。いつもなら事前に約束することが多いのに。
少し不思議に思いながら『わかりました。場所はどこにしますか?』とメールを返した。
部屋の片づけや、チョコのトリミング。色々とやらなければいけないことがたくさんあるけれど、どうせ家にいてもなにも手につかない。それならば汐里さんと会ってランチを楽しんだ方がいいに決まっている。
翌日私は、汐里さんと待ち合わせしているイタリアンレストランへと出かけたのだった。
「朔ちゃん! こっち、こっち」
店内に入ると、すでに汐里さんは到着していて私は急いで席に着いた。
「すみません、お待たせして」
腕時計を確認すると待ち合わせの時間にはまだ十分ほどある。