社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「気にしないで。電車の都合で早く着いただけだから」
綺麗なストレートの長い髪は、今日はキラキラと輝くバレッタで止められている。花柄のかわいいワンピースはテキパキと仕事をこなしている汐里さんとのギャップが感じられてそれもまたいい。
トレードマークのぱっつんの前髪から覗く丸い目が、なにかを探るように私を見ていた。
「あの、どうかしましたか?」
「……ううん。なんでもない。ねぇ、なに食べるこの“ふたりで食べるチーズフォンデュ&パスタランチ”にしようか?」
「いいですね。おいしそう」
ここのお店は、メイン料理を頼むと前菜とドリンク、デザートはバイキング形式だ。私たちは注文をすると、席を立って前菜を取りにカウンターに向かった。
「朔ちゃん、あっちすごくいっぱいデザート並んでた。私ジェラート全種類食べよう」
「楽しみですね。でも汐里さん、まずは食事しましょう」
「そうだね。あ、これおいしそう」
タコのカルパッチョや、小エビのフライ、セロリのマリネやコブサラダなど選びきれずに少しずつお皿に盛る。
隣をみると、汐里さんはすでにお皿から溢れそうなほどで「一回席に戻ろう」と言って歩き出した。
お互い飲み物もテーブルに運び、メインのチーズフォンデュとパスタが来るまで、前菜を食べ始めた。
「あぁ、おいしい。これおかわりしてこようかな?」