社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
イタリアンレストランでの汐里さんの『衣川課長に忘れられない人がいる』と言ったセリフが思い浮ぶ。
その相手は貴和子さんだというのだろうか?
「あんな鉄仮面と恋愛してなにが楽しいんだろうね。まぁ将来有望ではあるから結婚相手にはいいのかもしれないけど。それじゃ」
言いたいことを言い放つと、私のことなど気にも留めずに合田さんは去っていった。
衣川課長と貴和子さんが付き合っていたの? 衣川課長はまだ貴和子さんのことを忘れていないの?
色々な思いが渦巻く。それは今まで抱いていた淡いピンク色の心にポトンと落とされた墨のように私の心にしみていく。
相手の行動やうわさ話ひとつで、それまでの前向きだった気持ちが小さくなって、代わりに抱いても仕方ない猜疑心が大きくなる。
片道通行の恋が、こんなにも自分に影響を及ぼすなんてこの恋を知るまで思ってもみなかった。