社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~

——付き合いが悪いか……。

確かに、ここ最近三人でのランチはもちろん、終業後のお誘いも断っていた。

それは単純に貴和子さんと顔を合わせづらいからだ。自分の欲しいものを持っている貴和子さんに嫉妬してしまいそうだった。

貴和子さんの気持ちをはっきりと聞いてしまえばいいのだけれど、それさえも怖くてできない。そのくせ、自分の恋心を理由に彼女への羨望から生まれる嫉妬心を持たないでいられる自信もない。

身動きの取れない私は、ひたすら貴和子さんを避けていた。それが間違っているとわかっていても気持ちをコントロールできない自分が情けない。

「はぁ……」

ため息をついて、パソコンの画面を見つめた。

あっという間に一日が過ぎて、終業時間はとっくに過ぎている。しかし、今日は先日行われた労働組合の議事録をまとめなければいけなかった。

本当ならば合田さんと交代でするはずの作業だったが、ここ最近は全部私が請け負っていた。

「今日は、猫ちゃんの調子が悪いのか……」

それが本当の理由ではないということはわかっている。先月はお母さんの病院に付き合うって言っていた。しかしわざわざそれを責めて合田さんの機嫌をそこねるくらいなら引き受けてしまった方が早い。

私はなにも言わずに、人気の少なくなったフロアでパソコンの画面に議事録を打ち込んでいた。
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