社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
寝返りをうつとカサカサと音がした。洗濯糊が効きすぎている枕カバーはあんまり好きじゃない。
ふと鼻をくすぐる消毒液の匂いで目が覚めた。ここはどこだろう?
「気がついた?」
うっすらと目を開くと、ぼやけていた輪郭が徐々にくっきりとしてくる。
「貴和子さん……」
「よかった。デスクで倒れたの覚えてる?」
私は記憶をたぐりよせて頷いた。
「ここのところずっと無理してたせいよ。ちょっと熱もあるみたいだし」
終業時間がとっくに過ぎている医務室には産業医の先生もいない。体を起こすとその場にいたのは、貴和子さんと若林くん、そして窓際で外を見つめる衣川課長だった。
「ご心配おかけしてすみませんでした」
「それは、別に構わないけど立てる? 荷物はここに取ってきたんだけど」
貴和子さんがわざわざロッカーまで取りに行ってくれたみたいだ。
「ありがとうございます」
布団をめくり、ベッドから降りるときに貴和子さんが支えてくれた。
「疲れてたみたいなのに、無理に仕事頼んですみませんでした。全然気がつかなくて」
若林くんが申し訳無さそうに頭を下げた。