社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「どうしてこんなになるまで無理をしたんだ?」
「ご迷惑をおかけしてすみません」
「違う、謝ってほしいわけじゃない。理由が知りたい。今、抱えている業務が大変ならきちんと話をして改善していかなくてはいけないからな」
どの仕事も勉強も自分が進んでやったものばかりだ。他の誰かが悪いわけじゃない。自分のキャパシティーを理解していなかった私がいけないのだ。
「すべて私が進んでしたことですから。以後気をつけます」
「どうして急にそんなに頑張るんだ。今までだって十分やってきただろう」
ため息混じりに言われて、失望が感じられた。
「今まで通りじゃ駄目なです。私、もっと出来るようになりたい。衣川課長に認めてもらえるようになりたいんです」
大きな声で力説する私に、目を見開いて驚いた表情を見せる。
「ちゃんと認めてるだろう……」
「今までのままじゃダメなんです」
言っちゃダメだ、これ以上はなにも言わないほうがいい。わかっているけれど、口を閉ざすことができない。
「どうしたんだ。ちょっと待て——」
私をなだめようと、衣川課長の手が伸びる。
「私、衣川課長が好きです……好きなんです」
「……っ」
私に触れようとした衣川課長の手が止まる。顔を見上げると驚きと戸惑いが手に取るように分かった。
言ってしまったものは、今更どうしようもない。
私はただうつむいて、衣川課長の言葉を待った。
——どうか受け入れて欲しい。
勢いで告白したけれど、この気持は本物だ。だからこそ、彼に受け止めて欲しい。
しかし私の期待は、彼の言葉で打ち砕かれた。