社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「任意の送別会にも関わらず、これだけ人数が集まったのも彼女の人柄の所以だと思う。またいつか一緒に仕事をするときを楽しみにしています」
「ありがとうございます」
「河原からも一言」
深沢部長から促されて立ちあがった。
「今日はこのような会を開いていただいてありがとうございます。約三年の短い間でしたけれど、仕事の楽しさをみなさんから教えていただいたこと本当に感謝しています。ありがとうございました」
私が頭を下げると拍手でみんなが応えてくれた。隣の衣川課長からも拍手が聞こえてきた。その拍手がなによりも嬉しかった。
次々とみんなが労いの言葉とともに、ビールを注ぎにきてくれる。あんなこともあった、こんなこともあったと短いと思っていた三年弱をふりかえると、本当にいろんなことがあったなぁと思う。
成瀬さんはもっとも話しやすい先輩だった。最初の一年目は気を遣って本当によく声をかけてくれた。
「こんなに早くいなくなるなんて……一回くらいデートしたかったな」
すかさず隣にいた汐里さんが突っ込む。
「あんたとデートする暇なんて、朔ちゃんにはないの。私と女子会するほうがいいし、今度はコンパだって一緒に行くもんね」