社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「なっ! そのコンパ俺も連れて行け」
「なんで、アンタ連れて行かないといけないのよ。意味わかんない」
「別にお前はこなくていいよ。面倒だからな」
「なに言ってるの? 幹事は私よ」
目の前で繰り広げられるふたりのやりとりも、あまり見る機会がなくなると思ったら少し寂しくなった。
そんなふたりを掻き分けてきてくれたのは、合田さんだった。
「まさか、先にいなくなるなんて思ってもなかった」
先輩の彼女に引き継ぐことはほとんどなかったけれど、会議中に飲む衣川課長のコーヒーにはミルクとお砂糖を添えるようにとお願いしておいた。
「第二営業部にかっこいい人いたら、紹介してね」
「はい。わかりました」
相変わらずだと思ったけれど、合田さんらしい。
すると合田さんは急に隣の衣川課長へと話を振った。
「私、この間たまたま見たんですけどひと月くらい前に、新しくできたショコラ専門店で並んでませんでした?」
「あ……まぁ」
ひと月前といえば、私が貴和子さんに屋上でその店のチョコレートをもらったときだ。
不思議に思って視線を向けると、珍しく動揺しているようだった。
合田さんはそれに気が付いていないほどだったけれど、ずっと目で追っていた私は気が付いてしまう。
「あれは……俺のじゃない」
「そうなんですか? プレゼントですか?」
合田さんの好奇心に火が付いてしまったようだ。目を輝かせながら詰め寄っている。