社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~

営業の仕事は一日外に出ていることも少なくない。だからこそ、仲の良い同僚とのランチの時間はかけがえのない癒しの時間でもある。

月が変わって十月。月初めの今日はいつものふたりと、ランチの予定を合わせて会社近くの定食屋に向かっていた。

ひとりは昨年まで営業課にいた蓮井貴和子(はすいきわこ)さんだ。今年から営業企画部へと異動した後も、よく面倒を見てもらっている。

営業時代も憧れの先輩だったが、部署が変わった今もそれに変わりはない。今日もパンツスーツを華麗に着こなし、綺麗に巻いた髪をなびかせて颯爽と歩く姿がまぶしい。

もうひとりは、一課の営業事務の河原朔乃——私は朔(さく)ちゃんと呼んで可愛がっている。本当に、可愛がるという表現がぴったりだ。成瀬もこの間言っていたけれど仕事に前向きで素直、いつも笑顔を欠かさない彼女は年下だけれども女性として見習うことが多い。

お店への移動時間も惜しんで色々と話をする。

日替わりランチの話題で盛り上がったあと、社内の情報交換を始める。

「二課の若林くん、最近成約件数すごいですね」

思い出したように、朔ちゃんが話し始めた。今日の確かに今日の午前中も一件成約があったみたいだ。
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