社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
「もう……主役が台無しじゃん」
さっそく手元に届いたおしぼりを持って、事件現場に駆けつける。おしぼりを差し出すと「悪い」と言って苦笑いを浮かべて、おしぼりを受け取り床を拭き始めた。
「こっちは、私がやるから。それよりもそのスーツどうにかしなきゃ」
「うわっ! けっこうかかってるな」
慌てた様子でスーツを拭う成瀬の様子がおかしくて、思わず笑ってしまった。
片付けが終わり、私が自分の席につくころに隣の朔ちゃんも戻ってきた。
「ビール飲めないでしょ? なにか他のもの頼む?」
アルコールにそこまで強くない朔ちゃんにメニューを見せる。
「今、烏龍茶をお願いしているので大丈夫です」
ほんのり赤くなった頬が、女の私から見てもすごく可愛い。
それから成瀬のことについて話をした。同じ一課で成瀬のサポートもしている朔ちゃんはやっぱり彼の頑張りをちゃんと見ていたようだ。
そして落ち込む私も、ちゃんと慰めてくれるできた子だ。
こんな風に素直になれればいいのに。そうは思ったけれど、結局そのあとも私に絡みに来た成瀬にいつものようにお互い言いたい放題言って周りから「相変わらずだな」とあきれられてしまった。