社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~

怒りのボルテージが下がり始めて、立ちあがろうとしたところで声が聞こえてきた。

この声はうちの課の営業事務の合田(ごうだ)さんとその同期で営業企画部の三木(みき)さんの声だ。

ここで出ていくと、色々話かけられて面倒だな……。

私は正直彼女が得意ではない。社内の情報に長けているけれど、裏を返せばいつもなにかを探っているということだ。

別に知られて困ることはないけれど、その話が変な風に一人歩きしてしまうのは困る。

すでに終業時刻は過ぎている。すこしくらいデスクに戻るのが遅くなっても構わないと思い、彼女たちが去っていくのを待った。

のだけれど……いつまでそこで話をしているつもり?

あれから五分経っても彼女たちはまだ話し続けていた。

「この間のコンパで連絡先交換した人、どうだった?」

「あ、あれはないかな」

「あれって、失礼だよ」

笑い交じりの否定も十分失礼だと思う。

「でも、付き合うならいいけど結婚はパスかな」

「ふーん」

「あーあ。早く結婚してこんな仕事辞めちゃいたい」

合田さんが発した言葉にこっちがひやひやしてしまう。会社での発言としてはかなり不用意な発言じゃない?
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