社内恋愛症候群～イジワル同期の甘い素顔～

「今日もさぁ、またやってたんだよ。佐山課長と」

「あぁ、滝本さん？」

「あんなに髪ふり乱して仕事してなにが楽しいんだろうね」

まさか自分の話題が出るとは思っていなかった。今更バーンと扉を開いてこの個室から出て行くなんて勇気はない。

「きっと仕事が恋人〜だなんて思ってるんだよ」

「え〜なんか可愛そう」

ケラケラと声を上げて笑われて、怒りで熱くなる。

仕事頑張ることのどこがいけないのよ！

確かに仕事は裏切らないと思っているけど、でも私だって好きな人くらいいるのに。

「無駄に同期の成瀬さんに張り合っちゃってさ。この間も成瀬さん『可愛くない』って言ってた」

ここでも成瀬の名前がでてきてチクリと胸が痛む。いつも面と向かって言われているから平気なはずなのに。

「ほら、あんなに頑張っても女としての商品価値が低いならぜんぜん意味ないよ」

「あんなふうにはなりたくないね」