社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
若林くんがコンビニへと入っていった。その間私は自分のスマホを確認しようとバッグから取り出すと、成瀬からメールが届いていた。

【契約どうだった?】

成瀬は確か、終日外回りのはずだ。それなのにわざわざ気にかけて連絡をくれたみたいだ。

【無事契約したよ。若林くんがだけど】

そうメールを返して、バックにしまった。

そのタイミングで、若林くんが返ってきた。手にはドーナツと、コーヒーが握られている。

「お祝いにつきあってください。ドーナツだけど」

「ありがとう。嬉しい」

甘い匂いを漂わせるドーナツと、暖かいコーヒーを受け取って、運転席に乗り込んだ若林くんと乾杯する。

「契約おめでとう」

私がお祝いを言うと、屈託ない笑顔を浮かべた。

「ありがとうございます。滝本さんのお陰です。なのに、すみませんドーナツなんかで」

「ぜんぜん! 私甘いもの大好きだし、コンビニのも結構おいしいね。しかし、若林くんは結構気が利くよね。カラオケのときも思ったんだけど、女心がばっちりわかってるよ」

「そうですか? 煩い姉がいるせいかもしれませんね」

ふたりで、他愛もない話をしながら、ドーナツでささやかなお祝いをする。

その時、私のスマホが着信を告げた。
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