社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
「ん? 成瀬だ。なんだろう。ちょっとごめんね」
私が声をかけると、若林くんは頷いてくれた。
「もしもし……どうかした?」
『いや、今なにやってるんだ?』
「若林くんと祝杯あげてる」
『祝杯!? ふたりでか?』
「うん、そうだけど。でもドーナツとコーヒーだけどね」
なにをそんなに驚くことがあるんだろうか。終業時間はとっくにすぎている。これから会社に戻って残業しなくちゃならないんだから、すこしの腹ごしらえくらいうるさく言わなくていいのに。
『ドーナツってどこで食べてるんだ?』
「え? 車の中だけど……」
『若林とふたりっきりか?』
さっきと同じ質問を成瀬が大声でしてきたので、私はスマホを耳から離した。
「もう、うるさい! いったいなんなの? 用事がないなら切るからね」
『いや、ちょっと待て、おい』
なにか騒いでいるようだったけれど、私は強制的に電話を切った。
「もう、成瀬ったらなにが『ふたりっきりか?』よ……当り前じゃない。普通の商談に三人も四人も行くわけないじゃんね」
「確かにそうですね」
私の言葉に、若林くんが笑いをこらえている。
「成瀬ってば、もしかしてドーナツ食べたかったのかな?」
「ぶっ……あははっ」
それまで笑いをこらえていた若林くんが、声をあげて笑いだした。
私は、その笑いの理由がわからなくて、運転席に座る彼に体を向けて問いただす。
私が声をかけると、若林くんは頷いてくれた。
「もしもし……どうかした?」
『いや、今なにやってるんだ?』
「若林くんと祝杯あげてる」
『祝杯!? ふたりでか?』
「うん、そうだけど。でもドーナツとコーヒーだけどね」
なにをそんなに驚くことがあるんだろうか。終業時間はとっくにすぎている。これから会社に戻って残業しなくちゃならないんだから、すこしの腹ごしらえくらいうるさく言わなくていいのに。
『ドーナツってどこで食べてるんだ?』
「え? 車の中だけど……」
『若林とふたりっきりか?』
さっきと同じ質問を成瀬が大声でしてきたので、私はスマホを耳から離した。
「もう、うるさい! いったいなんなの? 用事がないなら切るからね」
『いや、ちょっと待て、おい』
なにか騒いでいるようだったけれど、私は強制的に電話を切った。
「もう、成瀬ったらなにが『ふたりっきりか?』よ……当り前じゃない。普通の商談に三人も四人も行くわけないじゃんね」
「確かにそうですね」
私の言葉に、若林くんが笑いをこらえている。
「成瀬ってば、もしかしてドーナツ食べたかったのかな?」
「ぶっ……あははっ」
それまで笑いをこらえていた若林くんが、声をあげて笑いだした。
私は、その笑いの理由がわからなくて、運転席に座る彼に体を向けて問いただす。