今夜、君にラブロマンスをささげよう。
大きな手がわたしの手を包み込む。
志月さんの体温が悲しみに染まった冷えた心をあたためていく……。
志月さんはきっとわたしが俯いていたから、いつまでも人の視線に囲まれることが嫌なのだと思って気遣ってくれているのだろう。心優しい彼の判断だ。
だけど、ねぇ。
志月さん。
わたしと手を繋ぐとますます視線が突き刺さるんです。
「えっ? あのっ!!」
手を繋いだだけでこんなにドキドキする。
出かかったさっきの涙は引っ込んだけれど、バクバクと跳ねる心臓が持ちそうにない。
(どうしよう)
(やっぱり無理だよ)
(何をやってもドジをやらかすこの厄介なわたしが、パーフェクトな志月さんとお付き合いなんてできっこない!!)
「あの、神流ちゃんっ!!」
神流ちゃんに助けを求めて振り返ればーー。