今夜、君にラブロマンスをささげよう。

「えっ? 世辞? 伊万里、そんなことないよな? 俺、邪魔じゃないよな? 頼むからそうじゃないって言ってくれよ~」


 聡ちゃんは泣きそうになりながらわたしの肩を揺らす。

「あうう……」
 ガクガク。
 ガクガク。
 わたしの視界が揺れる。


(えっと、えっと……)

 なんて言えばいいんだろう。

 わたしがどう言っても双葉さんが聡ちゃんを不安にさせる。

 もうどういうふうに答えてあげればいいのかわからない。


 少し後ろでわたしたちのやり取りを見ていた志月さんに助けを求めて視線を向けると、志月さんは双葉さんに向かってあからさまな深いため息をついた。
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