今夜、君にラブロマンスをささげよう。

 泣きそうな声でわたしを引き留めようとする聡ちゃんに対して、神流ちゃんはひらひらと手を振って見送る。



「俺の伊万里が不純異性行……むぐ」

「はいはい、先輩もシスコン、いい加減にしようね~」


 神流ちゃんは両手を伸ばし、おかしな発言をする聡ちゃんの口を塞いだ。


「志月せんぱ~い、伊万里の鞄はあたしが持って行くので大丈夫です」

「ありがとう、お願いするよ」


 どうやら神流ちゃんは狼狽(うろた)えるわたしを見て楽しんでいるようだ。

 思いきり手を挙げて進言した神流ちゃんに志月さんは頷いた。
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