今夜、君にラブロマンスをささげよう。

 わたしがおにぎりを受け取ると、彼は大きな口を開けておにぎりを頬張る。

 バクバク、バクバク。
 わたしの心臓が大きく鼓動している。

 正直、王子様を目の前にしている。

 しかもふたりきり。

 この状況で緊張しないわけがない。

 だから当然、ご飯なんて落ち着いて食べられる状況じゃない。

「…………」

(でも、食べなきゃ志月さんに失礼だよね)


「……いただきます」

 自分に言い聞かせ、わたしもおにぎりにかぶりつく。


「ーーあ、美味しい」

 ひかえ目なお塩と、ほどよく固められたおにぎりは食べやすい。

 わたしはひたすらおにぎりにかぶりつく。
< 58 / 135 >

この作品をシェア

pagetop