今夜、君にラブロマンスをささげよう。
「…………はむっ、はむっ」
緊張しすぎていたからわからなかったけれど、本当はとてもお腹が空いていたみたい。
わたしの手のひらよりも少し大きめに握られていたおにぎりは半分くらいまで減っていた。
「人目が多いところでは息が詰まるだろう? 実は、俺は賑やかな場所での食事はあまり好かなくてね」
志月さんが食堂のおばあちゃんからもらった水筒を傾ける。
コポポポポ……。
すると静かな室内にお茶が注がれる優しい音が生まれた。
あたたかな湯気が注がれた紙コップからふんわり広がる……。
(なんだか、心がほわんってする)
沈黙が、こんなに心地いいなんて知らなかった。