今夜、君にラブロマンスをささげよう。
 志月さんのことを異性として、しかも王子様として見ているわたしにとって、彼の存在がとても特別だ。


 バックン、バックン。
 やっと静かになった心臓は、志月さんのこの行動のおかげで再び大きく鼓動する。

「あ、ありがとうございます……」

 バクバク、バクバク。


「どういたしまして」

 なんとかお礼を言ってみたものの、胸が苦しい。

 バクバク、バクバク。
 心臓が大きく跳ねる。

 跳ね続ける心臓がわたしの声を掻き消すんじゃないかって思うほどにーー。


「……っつ!」

 志月さんは平気な顔をしてる。

(だけどわたしはすっごく恥ずかしいですっ!!)
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