今夜、君にラブロマンスをささげよう。
「ちょっと待ってね?」
志月さんの手がふいに伸びてくる。
「あの、でも、自分ででき……」
自分でできると言おうとした時にはもうすでに遅い。
志月さんの手の中に、わたしのリボンが収まっている。
……骨張った指によって、わたしのリボンが器用に結び直されていく……。
(顔、近い……)
あんなに遠い存在だと思っていた王子様が、手を伸ばせばこんなに近くにいるなんて……。
トクン、トクン。
わたしの胸が鼓動する。