ふたりの日常。~冬の夜~
啓介は家まで送ってくれるらしい。
待ち合わせもうちの最寄り駅にしてくれたし、結局優しい。

「俺さ、嬉しかったよ。明日香がこの前来てくれて」

歩きながらそんなことを口にする。啓介が感情を思いっきり出すことは珍しいから、そのまま黙って聞く。

「初めて使ってくれたしね、合い鍵」

はっとした。確かにそうだ。
サプライズのことばかり考えていて、まったく気にしていなかったけれど、今まで勝手に家に入ったことはなかった。

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