毒舌男子と住みましょう?
「ごめん美月! 私ちょっと行ってくる!」
「へっ!? あ、いや、ちょっと――」
「決まりね。じゃあ付いてきて頂戴」
拝むように私が謝ると、すっとんきょうな声を上げる美月をよそに、お嬢様が私の手を引っ張っていく。
「ちょっと桜! 待ちなって――」
「申し訳ありません。お嬢様のお話が終わるまでお待ち頂けませんか」
教室を出る間際にちらりと見ると、美月は先程まで空気のように立っていた、取り巻き数名に行く手をはばまれていた。