フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
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ショーケース型の冷蔵庫にブーケを入れ、ホッと一安心したかすみは、オフィスに自分のカバンを取りに行くと、まだ一人だけ、オフィスに残っていた。

「…チーフ」

かすみの声に反応して、顔を上げた悠人は何だか怒った表情をしていた。黙ったままかすみの目の前までやって来た悠人は表情はそのままに、かすみを見下ろす。

「…人の話も聞かずに勝手に出て行って」

これは相当怒っている様子。かすみは悠人に謝罪した。

「…すみませんでした。連絡もせず…でも!新しいブーケはちゃんとでき…」

「…心配させやがって」
「…チーフ、あの」

かすみの頭の中はパニックだった。…誰もいないとはいえ、悠人に抱きすくめられている。心配をかけた事は確かだ。でも、だからって抱きしめるなんて。

悠人もまた、抱きしめた後で、自分の行動に驚いていた。

かすみの仕事は終わっていたとはいえ、あのブーケの為に、突然飛び出して行き、人の制止も聞かずに出て行ってしまったかすみ。何度か携帯に連絡したものの繋がらなかった。

探しに行きたかったが、今日中に終わらせなければならない仕事があり、オフィスを出る事もできず、ただただ待つしかなかった。

やっと帰って来たかすみはとても落ち着いていて、悠人の顔を見てキョトンとしている。人の心配なんて、気にしてもいないといった顔で。

でも、だからこそ、悠人も安心して、無意識に無事に戻って来たかすみを抱きしめた。
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