フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
かすみの返事を聞き、薫はそれじゃあと言ってその場を後にした。しばらく薫の車がいなくなった方向を見つめていたかすみ。その視線は、貰った紙切れに。

それを見ただけで、頬が緩んだ。

近づきたいと思っていると、こうやって少しずつ近づけるんだな。と、かすみは思って嬉しくなった。

…次の日、靴擦れした部分はまだ靴が擦れると痛い。絆創膏をしっかり貼って仕事に向かった。

…こういう日に限って、力仕事が多い。かすみは、痛い足を庇いつつ、仕事に励んだ。

かすみは、顔には出さなかったので、他のスタッフは誰も、足が痛い事になんて気づかないと思っていた。

…午後6時。仕事が終わり帰り支度をしていると、悠人が声をかけてきた。

「遠藤」
「あ、チーフ、お疲れ様です」

「…ちょっと付き合え」
「…へ?」

突然の誘いに、キョトンとする。

「ほら、行くぞ」
「…ぁ、はい」

どこへ行くんだろうと思いながら、悠人の車に乗り込んだ。

「…チーフ、どこへ?」
「…足」
「…足?」

「今日ずっと、右足庇ってただろ?」
「…バレちゃいました?」

なんて、かすみはおどけて見せた。

「よくよく見れば、腫れてるの気づいてたか?」
「え?…ぁ、ホントだ。今言われるまで気づきませんでした」

本当に気づいてなかったかすみを見て、悠人は溜息をつく。

「全く、お前ってやつは…家まで送る」
「え⁈いいですよ!今迄気づかないくらいなんですから、大丈夫だって事ですよね。電車で帰りますから」

「意地を張るな」
「…同じ事、言われました」

「…誰に?」
「いえ…何でもないです」

かすみは言葉を濁した
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