フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
打ち合わせしたことをパソコンにまとめたり、他の結婚式の準備の手伝いをしたりと、かすみは慌ただしく動いていた。

…気がつけば、他のスタッフはみな帰っていて、かすみ一人になっていた。

かすみは、仕事が遅いわけではない。一度没頭すると、周りが見えなくなる。時間が経つことすら忘れてしまう。

周りのスタッフ達に、よく心配される。

「…ぁ、もうこんな時間。帰ろう」

パソコンの電源をおとし、帰る準備をしていると、悠人か入って来た。

「…まだ、仕事してたのか?」
「…はい。集中してたら、こんな時間になってました」

と、かすみは自分の頬をポリポリかいた。悠人は呆れたように溜息をついた。

「…送る」
「…いえ!電車はまだまだありますから」

かすみは、この間の事を思い出していた。抱きしめられた事、告白された事…

うやむやになったままになっている。

「…遠藤」
「…チーフ、私は、…チーフに言われた通り、西園さんのことが、好きです…だから、チーフの気持ちは受け取れません、ごめんなさい」

一気に自分の気持ちを言うと、かすみは深々と頭を下げた。

「…そうか、わかった」
「…!」

薫の言葉に頭を上げる。

「そう言ってやりたいけど、言えない」
「…どうしてですか?」

「…好きだから…俺の手で、かすみを幸せにしたいから」

薫の言葉に、胸がキュンとする。そう言われて、嬉しくない筈はない。でも、その言葉を言って欲しいのは、悠人じゃない。


…薫自身に言われたい。
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