フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
…ちょっと待てよ?と、薫は思った。

そう言えば、まだ、かすみの口から好きだとは聞いていない。のに、つい先走って、かすみを抱きしめてしまった。

「…あの、すみません…嬉しすぎてつい…」

ゆっくりとかすみを自分の体から離す。
すると、かすみはクスクスと笑い出した。薫は、バツが悪そうな顔をして、頬をかく。

そのお陰か、涙もすっかり止まってしまった。

「…私も、西園さんと、同じです」
「…かすみさん」

「…私も、西園さんの事…好き、です」

飛び跳ねるほど嬉しい言葉だったが、今度は落ち着いて、薫はかすみの手を取り微笑んだ。

「…あの」
「…はい?」

「…抱きしめていいですか?」
「…クスッ…どうぞ」

しっかりしてるのか、抜けてるのか?そう聞いた薫が可笑しくて、クスクスと笑いが止まらない。それでも薫はかすみを抱き締めた。

「…ずっと離したくないんですけど」
「…えっと…まだ、勤務中なんで、戻らないと」

「…ですよね。…迎えに来てもいいですか?もう少し一緒にいたい…ダメですか?」

あまりに真剣に訴えるので、かすみはクスッと笑って。

「…それじゃあ、終わったら、連絡します」

かすみの答えに満足したのか、薫は微笑むと、

「…⁈」

かすみは自分の唇に手を当てた。
薫が不意打ちのキスをしたのだ。

「それじゃあ、後で」

かすみをその場を式場まで送ると、薫は一度店に帰った。
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