フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
午後7時。雑用を終わらせたかすみは、薫に電話をした。

携帯をしまうと、外に出ようと立ち上がる。

「…遠藤」
「…チーフ…お疲れ様です」

悠人に頭を下げると、かすみは帰る。

「…西園さんとは、どうなった?」

入り口でかすみは足を止めた。

「…私が色々誤解してて、…私が西園さんを誤解させてて、でも全部、真実がわかって…」

「…両思いになったって?」

「…はい…あの…色々すみませんでした」

「…お前の事「お前って気安く呼ばないでください」

「「西園さん」」

突然ニョキッと出てきた腕が、かすみを引き寄せると、スッポリと胸の中に収まった。

「…望月さん、かすみさんは俺の大事な人です。ですからちゃんと、苗字で呼んでくださいね」

そう言って薫は、微笑んだ。…かすみは顔を赤くして、俯く。

「…フン。勝手に言ってろ…もう、遠藤を泣かせるな。泣かせたら、次は本気で奪いに行くからな…さっさと帰れ」

「…お疲れ様でした」

呟くようにかすみは言って、オフィスを出た。

「…運転中は、手を離したほうが良くないですか?…危ないですよ」

…ずっと、片手を繋いだまま、薫は運転している。

「…1分1秒でも、かすみさんに触れていたいんです」

その言葉に、かすみの顔は、ますます赤くなり、片手で口元を覆った。
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