フラワーガーデンへようこそ〜優しい愛をあなたに〜
…薫は気づいてしまった。

「…毎月1日に、花をかってくださってますよね」
「…え?」

花を見て、微笑んでる姿…誰かに似ている。そう思っていた。…その姿を見て、誰なのか、薫は分かってしまった。

「…だ、誰かと間違えてませんか?」

明らかに動揺している。そんな彼女がとても可愛く見える。

「…見間違えませんよ。さっきまでは慌てていて気付きませんでしたが、花を見て微笑んでる貴女は確かに毎月1日に花を買いに来てくれてる…かすみさんだ」

「…」

あぁ、バレたくなかったのに…これが本当の自分の姿…地味で、暗い自分。

真逆だから、気付かれないと思ってたのに。…かすみは俯いてしまった。

「…なんて顔をしてるんです?…俺は凄く嬉しいのに」

そう言って、かすみの顔を覗き込む。

かすみは、その言葉に驚いて顔を上げた


「…気になっている彼女は、遠い存在ではなく、こんなに近くに居たんですから」

「なっ、なっ、なっ」

言葉になっていないかすみを見て、薫はクスクスと笑う。

「…ブーケ、なんとか3種類作ってみたんですけど?」
「…あ!」

大事な用事を忘れるところだった。

「…写真撮ってもいいですか?新婦様に見せたいんですけど」
「どうぞ、どうぞ」

3つのブーケを写メすると、すぐに返事が来た。

「…これなら大丈夫だって!ありがとうございますって言ってます」

満面の笑みでそう言ったかすみ。その笑顔を見て、薫も自然と笑顔になった。

「…あ、でも。これ、どうやって持って帰ろう…自転車」

それが一番の問題だったりする…

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