バウンス・ベイビー!


 これって大パニックでしょ!どうしたらいいのよ一体!しかも独白したってだけで、こっちの反応は一切気にしてないんだけどこの人!それってさ、今目の前の私に言う必要あった!?

 あまりにも恋愛偏差値の低い私には、優秀な答えなど見つけられなかったのだ。だから酔っ払いを支えるという役目に徹することにした。それが最もたやすい現実逃避だったのだ。

「あー、リーダーに千明ちゃん、遅かったですね~!ってリーダー、大丈夫ですか?」

 座敷に戻るとパートさん達がわらわらとやってきて、私から高峰リーダーを受け継ぎ、代わる代わるに世話を焼きだした。

「外の風にあたりにいったら、高峰リーダーがフラフラでしたから回収してきました」

 そう言うと、その酔っ払いであるリーダーが、うるせーぞ藤!とブチブチ言う。

 パートさん達は笑ったけれど、私はまだ混乱した頭のままで、とりあえずと座り込む。呆然と周囲を見渡すと、まだガッツリ食べている田内さんがさっきのままの場所に、そして平野が―――――――――こっちを見ていた。バッチリと目があってしまって、一瞬で混乱が深まった。

 あ、やば――――――目があっちゃった。

 新たな混乱があった私は少し気がゆるんでいたのだろう。パッとそらすと頼んでおいた日本酒をぐっと一口飲んで、時計を見る。夜の10時半。なんてこと、もう3時間半も経っていたとは!

「あのー、そろそろ私帰りますね」

 リーダーとリーダーを介抱しているパートさん達にそう言うと、え?と皆がこっちを見る。黙って時計を指すと、パートさん達も慌てだした。


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