バウンス・ベイビー!


「結構飲んでたわりには酔ってないんだな。藤って酒に強いんだ」

「風が冷たいから酔いはさめました!いいからあっちいってよ。一人で帰りたいんです!」

「風が冷たいから?そうじゃないだろうって思うけど」

 は?

 平野の言い方には含みがあった。残念ながらそれをキャッチしてしまった私は、怪訝な顔でヤツを見る。するとちゃっかり隣に立った平野が、更ににやりと笑って言った。

「さっき、高峰リーダーと、何かあった?」

 仰天した。実際、不動直立のままで出来る限りのオーバーリアクションをしてしまったと思う。

「・・・えっ!?」

 パッと口元に手をあてて平野を見上げると、微笑を苦笑に変えて見下ろしている。

「わかりやすいな、本当。リーダーも酔ってたし、何かあったなって思った」

「かっ・・・かかかか」

「か?」

「関係ないからっ!平野には!」

 つい大声が出てしまってハッとする。夜の11時前のホームとはいえ、他の人の姿だって見えるのだ。こんな目立ち方は勘弁~。というか、どうしてまだ電車がこないのよ!さっさと来てよ!そんで私を助けてくれ~!

 電子掲示板を恨めしげに見詰めていると、平野が隣でのんびーりと言った。

「関係・・・なくないだろ、キスした仲だし」

 ごふっ!私は器官に唾が入って咳き込んだ。

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