バウンス・ベイビー!
それに優しい笑顔や、それに・・・キスも。
『面白いんだな』とか『一緒にいたいって』のような言葉は、6年前の私が、雪の中で突っ立っていた私が欲しかった言葉だ。それなのに今、何故か不機嫌で放って欲しい私にくれることないだろう!今それを貰ったって、全然ハッピーじゃないのよ!
平野はちょっと真面目な顔をした。それから周囲に人がいないのを確かめるように見回して、ゆっくりと口を開ける。
「わざわざ、傷つけたんだ。でもそれは悪いと思ってない」
「あ!?」
謝るのかと思ったら、あれはわざとだったといわれてしまった。もう私はどっかーん!で、体中の熱が頭に集まってきたかのようだった。
平野は一度ため息をつく。私達は人気のないホームにつったって、真冬の冷たい風を受けていた。
「あの頃の藤は・・・頑張って好きだって思い込んでいたように思う。俺を追いかけて声をかけることが目的みたいな、なんていうか・・・俺じゃない、俺のことを好きだと思ってる自分が好きって感じだった」
ガツンと頭を殴られたような感覚がした。
天からたらい桶か何かが降ってきたんじゃないかと、一瞬本気で探しかけたほどだ。
それくらいのキツイ感覚が、頭の中で、した。
怒りを忘れてぽかんと口を開ける私を見たままで、平野は言う。
「高2くらいかな?それくらいだったよな。急にすごいアプローチになったよな。だけど、藤はいつも周りを気にしている感じだった。何で無理して追いかけるんだろうってずっと思ってた」