バウンス・ベイビー!
・・・ずっと?ずっと思っていた?ってか、ならどうしてその時言ってくれなかったんだろう?私が必死になっていたのを知っていたのなら・・・。そう思ったけれど、真っ白になってしまった私の頭は、ちゃんと理解してしまった。
この人だって、高校生だったのだ。今の私や今の平野が対処するようには出来なかった。出来なかったのだ、お互いに。
「私は・・・好きだったよ、平野のこと・・・」
掠れる声でやっとそういう。
確かに無理はしていた。だけど、それは勘違いしてほしくないって思ったから。あの3年間は、ちゃんと確かにあったのだから。例えば恋に恋していたのだとしても、その対象の真ん中には平野がいたのだから―――――――――
平野は頷いた。
「だから断ち切ってやらなきゃと思ったんだ。藤から俺を消してやらなきゃって。でないとお前はずっと俺を諦められない気がして」
「それであんな・・・言い方をしたの?」
『俺は藤に興味がない』って。『もう話しかけないでくれ』って。そう、と平野が頷く。
私は勿論平野のそんな気持ちは知らなかった。それに、ヤツの思惑通りにしっかりと私は傷付いて、この人を心から消そうと必死になったのだった。
だけど―――――――感謝なんか出来ないわよ。
「・・・お陰で私は恋愛恐怖症になったわけだけど」
暗い声でそう言うと、平野はヒョイと肩を竦めた。
「へえ、そうなのか?」
「ええ、お陰で大学時代も恋愛経験はひとっつもありませんでした!また誰かを好きになって振られるのが怖かったから!」