バウンス・ベイビー!


 平野はまだそこに突っ立って、私と高峰リーダーの会話を聞いている。私は片手をパッパと振って、早く行けとジェスチャーで示した。平野はヒョイと肩をすくめて歩き出す。

 腕を組んで険しい顔したままのリーダーが、一つため息をついた。

「気持ち悪くなったら吐く前に言ってくれ。手元は十分気をつけて仕込みすること。いいな?」

 返事をする代わりに私は片手を上げて頷く。仕事に支障が出るのは社員としては失格だ。私は申し訳ない気持ちで頭を垂れる。するとリーダーはちょっと近寄って、小声でボソッと聞いた。

「・・・飲みに行ってたのって、平野とじゃあないんだな?」

 私はビックリして顔を上げる。その瞬間頭がくら~っときたけれど、何とか耐えて手を振りながら言った。

「え?違いますよ、まさか!」

「でも誘われたんだ?さっきの言葉からすると」

「え?えーっと・・・うーんと・・・」

「どっちなんだよ!」

 リーダーの切れ長の目がメガネの奥できりりと上へ釣りあがった。

「さ、誘われましたけど、断りました」

 どうして責められなければならないのだ!私は憂鬱すぎる気分で渋々そう答える。

 するとリーダーは険しい顔を消して、にやりと笑った。

「相手があいつだと思うとムカつくんだよ。俺が誘わなかったから先を越されたんじゃねーかって。でも誘ったけど断られたならそれでいい」

「――――――」

 え。


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