バウンス・ベイビー!


 ・・・誘うって、クリスマスディナーを?リーダーが、私を食事に?

 リーダーは更に一歩近づいて、小声で言った。

「悩んだんだけど、このクソ忙しい時だろ?毎日帰って倒れてるからさ、そんな元気が俺なくて」

「はあ」

「でも藤、暇になったら、ご飯いかないか?」

「は?」

 二日酔いを忘れて驚く私を見て、リーダーは頭をぽりぽりとかいた。

「職場でこれって不適切?パワハラにならないように誘うのって難しいな。命令すんのは簡単だけどさ」

 ・・・いやいや、命令はダメでしょ、リーダー!

 驚きのあまりの馬鹿面でリーダーを見詰める私の肩をぽんぽんと叩いて、いつもの顔に戻ったリーダーが無造作に言った。

「明日お前休みだったよな?だからとにかく、危ない今日だけは手元に気をつけてくれ。で、繁忙期は二日酔いにならない程度に飲むこと!いいか?」

 私はまだ驚きの中にいたので、コクコクと頷く。よし、とリーダーは頷いて、手を洗いにいってしまった。私は呆然として、帽子を手の中でぐちゃぐちゃにしていることにも気がつかなかった。

 えー・・・まさか、そんな・・・。マジで、リーダーは私を恋愛対象の女の子と思ってるってこと?それともただ単に平野が私に近くのが気に入らないってだけ?・・・さっきの言葉では、そのどっちとも取れるんですけど・・・。

 ぐらぐらぐら。頭痛はマシになってきたけれど、体のだるさと気持ち悪さはいかんともし難い。こんな時にまた面倒臭い問題ぶつけるのやめてよ、ほんと。


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