バウンス・ベイビー!


 だけどその日はあまり混乱した頭で考え込まずに済んだ。

 私は戦うべきは対応の仕方が判らない男二人ではなくて、二日酔いだったからだ。


 終業真際、やたらと私の近くをウロウロする平野と、それをじいーっと見ているリーダーを避けるために、私は浜口さんの腕をとって、自分も用事があるかのようにスーパーまで着いていく。そうやってやり過ごし、無事に自分の部屋へと帰宅した。

 帰ると力が抜けてへなへなと床に座り込んでしまったほどだ。

「・・・ああ、疲れた」

 今日は晩酌はやめておこう。そう決めて、何とか立ち上がったところでスマホが振動した。

 開けると仁美からのメール。明日のダブルデートの待ち合わせ場所の連絡と、明日着ていくつもりの服装を写真で撮ってメールで送るように、という指示だった。

 ・・・えー・・・すっごく面倒臭いんですけどー・・・。この様子だと、仁美も二日酔いにはならなかったようだ。なんて奴らだ、底なしなの?モンスターガールズ・・・。

 ため息をついた。私の平穏な、考えることはご飯の献立だけだったあの日々は一体どこへ?今は職場の男二人と、明日会う新しい男一人のことについて頭を悩ましているなんて!

 ま、とりあえずこれは後回し、とスマホを放り投げる。私はコートを脱ぎ、鞄をおくとストーブをつけて、シャワーブースへと入る。

 あっついお湯を浴びる必要があるわ。そして、ちょっとはシャキッとしなくちゃ―――――――――



< 143 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop