バウンス・ベイビー!
ベンチに座ったままで、二人はあはははと笑う。彼の緊張もなくなっていて、心底ホッとしているようだった。きっと乗り物に乗っている間にもかなり考えていたのだろう。真面目な人なのだ、多分。
「彼女を思い出してしまったんでしょう、色んなところで」
私がにやにやしてそう言うと、困ったな、と相沢さんは苦笑する。
「実は、そう。君が笑ったり歩いたりしているのを見ると、彼女が浮かび上がってくるんだ。それで―――――違う、って思ってしまう。本当に失礼なんだけど・・・ここにいるのは君じゃない、って」
「判りますよ、仕方ないです」
やはり若干傷付きはしたが(そんなに正直に言うことないでしょと思って)、私は頷いてみせる。
「本当に失礼だよね、ごめんね。今日は楽しくて、でも君が俺と付き合うってこと前提でここにいるならちゃんと話さなきゃって思って」
「良かったですよ、話してくれて。で、どうしますか?もう帰りますか?」
彼女への思いを確認したのなら、別に友達でもない私と遊ぶ必要はないわけで。そう思って聞いたけれど、相沢さんは笑顔で私を見た。
「藤さんが良ければ――――――今日一日、友達として遊ばない?遊園地なんて俺も久しぶりだし」
そう、私も楽しい。それは相沢さんが隣にいるからではなくて、ただ単に、遊園地とここの乗り物が楽しいのだ、それがわかっていたから、私も笑顔で頷いた。
「そうしましょう!ついでだから、お化け屋敷以外全部制覇しません?」
「いいねー。でもやっぱりお化け屋敷はダメなんだ?」
「ダメです。無理に入ったら相沢さんの耳元で絶叫しますよ」