バウンス・ベイビー!
ベンチでしばらく喋っていた。だから食事の待ち合わせには30分も遅れてしまい、仁美をえらく不機嫌にさせてしまったのだった。だけど食事中に、うまくいってるみたいねと微笑む彼女にはさっきの話は言わなかった。今日は、内緒にしておこう。相沢さんの心の内は。それで友達として遊び、楽しもうって決めたのだ。
お昼の後は、また解散。そっちもうまく行ってるみたいだし、もうこのままにする?と仁美が聞いて、タカシさんが相沢さんの肩をバンと叩く。
「ちゃんと千明ちゃんを送っていってやれよ!」
そう言うタカシさんに、勿論、と爽やかに相沢さんは笑う。私はそのつもりはなかったけれど、仁美たちの前で敢えていうこともないかと黙ってそのやりとりを見ていた。
世話好きのカップルから離れると、つい二人で笑ってしまった。
「大いに誤解してますよ、あの二人」
「そうだね。あとがきっと大変だ。申し訳ない、藤さんには」
私はにっこりと笑って相沢さんの腕をぱしっと叩く。大丈夫ですよ、って言いながら。
「よし!もうガンガン乗るだけですね!」
私がそう言うと、彼も頷く。そして今日初めて会った友達として、宣言通りに片っ端から乗り物を制覇していったのだった。
気が楽になったのか午前中よりも言葉が増えた相沢さんは、私の話も聞いてくれる。一度お茶で休憩した時、それから乗り物の待ち時間などにも、ぽつぽつと私は平野とのいきさつを話す。男の人ならどう答えるんだろうと思ったのもあって、相沢さんをじっと見る。