バウンス・ベイビー!


「・・・今、何時?」

 掠れた声でそう言って頭を持ち上げると、案外軽くて驚いた。あれ?体、軽い、かも。

 時計を見ると午後の4時過ぎ。何てことだ、私はほぼ一日中寝っぱなしだったのか!ゆっくりと体を起こしてみても、さほどしんどくない。そして眩暈もない。おお?もしかしてこれは、風邪は治ってる、かもなの?

 そろそろと起き上がって、とりあえずと体温計を手に取る。全身が汗だくで、毛布が気持ち悪かったからベッドから抜け出した。

 終了の音がしてみてみると、熱は37度1分。

「おおー」

 やった、下がってる。もうここまれ下がればこっちのものよね?だって峠は完全に越えたってことだもんね?

 ホッとして、私は体温計をしまった。良かった、一日半やそこらで治って。インフルエンザだったらどうしようかと思ったけど。汗を大量にかいたみたいだから、それが良かったのかも。

 そうか、熱が下がったから体が軽いのか!そう思って嬉しくて、すくっと立ってみたら眩暈に襲われた。

「ああ、ヤバイヤバイ」

 そりゃそうだよね!だってほぼ一日何も食べてないんだもん!

 私は床の上をそろそろとキッチンまで移動する。でも冷蔵庫を開ける前から知っていた。我が家には今、食べ物が何もないってこと。本当は倒れた昨日、仕事帰りにスーパーに寄るつもりだったのだ。そこで年末年始の美味しいものも買い込みするつもりだった。

 だけど熱でふらふらで帰宅したので、スーパーには寄ってない。お腹は空っぽなのに、食べ物が何もない~・・・。

 頭の中で、乏しい食料を思い浮かべた。一合ちょっとのお米・・・コーンフレークが少し。パンも牛乳も卵もない・・・。


< 161 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop