バウンス・ベイビー!


「えー・・・ちょっと、私ったら可哀想・・・」

 悲しくなってその場に寝転がる。だけど一人暮らしなのだ。今からでも着替えて、買い物に行かなきゃならない。食べないと体力もなくなっちゃうしー・・・。

 そんなことを考えて体を起こしたその時、また玄関のチャイムが鳴った。

「あ、はいはい」

 私は手ぐしで髪を撫で付けながらそろそろと玄関まではっていく。朝の人かな?宅配便かな?実家からだったら、何か食べ物が入ってるかも。

「はい?」

 ドアに近づいてとりあえずそう声をかけると、低い掠れた声が聞こえた。

「――――――藤、俺」

 え。

 私は目を見開いた。この声は――――――――まさか、平野かっ!?

「え、ええ?平野?どどどど、どうしてここへ?」

 つい裏返ってしまった声が恨めしい。私はドアは開けないままで、玄関ドアに耳をぴたっとひっつけてそう叫んだ。

「大丈夫かと思って見に来た」

 うひょー!マジでー!?あんたそんな優しいことするの!?それってちょっと胸キュンではないのっ!正直言えばそう思ったけれど、私はやっぱりドアは開けないままで頑張る。

「え、あ、はい。大丈夫大丈夫!大丈夫ですよー!」

「今朝来てみたんだけど、応答がなくて。倒れてるのかと思った」

 あ、あれは平野だったのかー!私は動揺しながら必死で叫ぶ。

「よ、様子見に来てくれたんだ、ありがとう!でも大丈夫ー!」


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