バウンス・ベイビー!
「正解だったな、買ってきて」
「ほんとうありがとう。誰かに何か言われたの?」
千明ちゃんに持ってってやって、とか。例えば―――――パートの浜口さんとか。そう思って聞いたのだけれど、平野はあっさりと首を振る。
「俺も一人暮らしだから。風邪の時のどうしようもなさは経験済み」
ははあ!
「必要なかったら自分で食べればいいかと思ってたから、自分が好きなのしか買ってないし」
「お陰さまで助かりました、ありがとう」
私はそう言って改めて頭を下げる。
納得した。平野も今までにこんな位に苦しかったことがあったのだろう。学生だけど、一人暮らしをしてるのか。私は心の中でそう考えて、お茶をいれに立ち上がる。
「お代わり飲む?というか・・・何か食べる?お腹は空いてない?」
まだ早い時間だけど、彼が買ってきたものなのだ。私は慌ててそう言ってみる。
「んー、大丈夫。まだ4時半だし。お茶は貰おうかな。今日作業場すげー寒かった」
「ああ~、大変でしょ、冬のあそこは!夏は涼しくていいんだけどねえ!」
しかも今日は大掃除で水も大量に使いながら作業場を綺麗にしたはずだ。それは寒かっただろう!私が一人でそれを想像してウンウン頷いていると、後ろから平野が言った。
「――――――で、何で嘘ついたわけ?」
・・・へ。
くるりと振り返ると、平野は寛いだ格好でこっちを見ている。私はへらっと笑った。
「はい?」