バウンス・ベイビー!
ふう、と息をついてから、次は朝食を作り出す。平野が買ってきたお餅を取り出して、フライパンをあたためてお湯を沸かす。
何かしていると余計なことを考えずに済むので楽だった。新年一日目の今日、外は雪は止んで晴れているらしい。音がないと緊張するかもとつけたテレビのニュースでは、新年の初買いにとデパート前で並ぶ人や初詣へいく人がうつっている。
たくさんの人でごった返しています、そう話すキャスターの声も心なしか弾んでいる。
そうか、新しい年なんだよね。そして今日は仕事も休み。そう思ってようやく笑顔が戻った時、平野がシャワーから出てきた。
「お、いい匂い」
「えーっと・・・君はお餅いくつ食べる?」
「4個」
「はいはい」
ああ、顔が見れない。やっぱり恥かしくて。だけど今はやることがあるから――――――――
ふ、と手元が翳ったと思ったら、ツイと近寄った平野が後ろから両手を回して抱きしめてきた。
「うっひゃああ!?」
私の背中からまわした両手は腰の前でがっちりと組まれ、肩に乗せられた平野の頭からはふわりとシャンプーの香りが漂った。驚きで手が跳ねてフライパンが音を立てる。
「ちょちょ・・・あのー。も、もしもし?!」
びっくりして体をかためる私を、後ろからぎゅうっと抱きしめて首筋に鼻先を押し付け、平野がいつもの掠れた声で言った。
「体は、貰ったからさ」
「へっ!?」
「心もくれないか?」
「へ――――――――」