バウンス・ベイビー!
「うわあ~!やめろって、俺、腹は・・・」
平野には珍しいリアクションで反射的に体をまるめたから、私はつい嬉しくなった。
「おおー、弱いの?お腹触られるの弱いんだ?よし、もっとやってやる」
「こら藤、危ない!危ないってば怪我するぞ」
二人で狭い部屋の中を転げまわる。だけど力の差は大きくて、結局私は彼に抱きしめられてしまうのだ。あまりにもそれに照れて暴言をはくと、平野はケラケラと軽く笑ってこう言った。
「知らなかっただろ?俺、実はむっつりスケベなんだ」
そりゃ一体どういう宣言だ!
口をあけっぱなしで凝視する私の手を取って、平野は手の平に唇を押し付ける。
「だから、こういうこともする」
私の指を一本ずつ口に含んで吸い付き、舌でなぞる。人差し指から中指へ。捕まえられた私の手は、平野のおもちゃにされていく。全身がぞくぞくとして動くことも出来ずに、私はぎゅうっと目を瞑る。
「き・・・汚いよ、平野」
「汚くない」
音を立ててゆっくりと舐め、平野はにやりと笑った。
「好きな女の体は、全部美味しいってことになるんだよ」
顎が落ちるかと思った私だった。
「嫌なら抵抗すれば?」
音を立てながら私の指に吸い付き、平野がそう言う。整えてない彼の髪の毛がさらさらと肌をくすぐる。私は恥かしさのあまり消えてしまいたくなる。だけど、嫌ではなかった。指を舐められているのに、手を舌で好きなように弄られているのに、それは不快などではなく体の芯を熱くさせる。