バウンス・ベイビー!
どうすればいいかと悩んでいた日々は過去のもので、私達は似たような価値観で笑い、ご飯を食べて、手を繋ぐ。それから平野が例の切なそうな顔をして、私へと手を伸ばす。一緒に寝て体温を分け合うとこんなに安心するんだ、ってことを、私は知ってしまったのだ。
心の中の奥深くで凍り付いていた場所が、ゆっくりと溶け出したようだった。
あと少しで1月は終わり、平野はバイトを辞める。そうなったらリーダーを気にせずに、堂々と付き合えるな、って平野が言う。彼は就職も決まっているそうだし、その会社は今の部屋から通うつもりらしいし、今より時間は少なくなるかもしれないけれど、ちゃんとした社会人同士で付き合えるってことなのだ。
最近の私はハッピーだった。
すごく浮かれているわけでもなく、かみ締めるようにして自分の毎日を過ごしている。
仁美たちに貰った日記張も、言われた通りにハッピーなことだけを書いている。そして週末に読み直し、こんなに嬉しいことがあったのか、と思っては更に幸福感を増しているのだ。一人で勝手に幸せになれて安上がりだし、精神衛生上もとてもいいことだと思う。
キーボードの上で、指は休まずに踊る。
昼ごはんまでは集中して書いて、それから家事をしよう、そう決めていた。何度も書き直したこの作品、いよいよ終わることが出来る。
自然に私は、笑顔になっていた。