バウンス・ベイビー!


『何ですって~!?え、ええ?あの男よね?つきまとってくるっていってた?あんたが避ける方法だ何だって悩んでた!?付き合ってるって、いつからよ!?』

 怒涛の質問だった。電話口で絶叫されたので耳がキーンと鳴っている。私はしばらくの間スマホを耳から離して休め、それからもう一度耳に引っ付けた。まだ仁美は叫んでいる。

『結局寝てみることにしたの!?それでどうなったの!?もう、どーしてそういうことを電話で言うのよ!今すぐ飲みに行きたいけど、あたし化粧落としちゃったし・・・ああん、もう!!』

「・・・ちょっと落ち着いてよ仁美。耳が、かなり痛いわ」

『うるさいわね!あんたの耳なんてベスト・オブ・どうでもいいだわ!』

 ベスト・オブ・どうでもいい?何だその言葉・・・。私は興奮する女友達が面白くてつい口元を緩めてしまう。

『これだけ聞くわよ!千明、彼とやっちゃったの?』

 ・・・やっぱり直球だな、オイ。私は苦笑して、それから小さくうんと返す。私が未体験だったことは仁美は知っている。だから、それが一番知りたかったのだろうって。

 予想通り、仁美は存分にぎゃあぎゃあと騒ぎまくっていた。途中で何の騒ぎだって彼氏のタカシさんが様子を見に来たほどに。

 で、そこから凄いことになったのだ。スマホで話す私の話を仁美が隣にいるタカシさんに話し、彼は興味をもって相沢さんに電話したらしい。つまり、仁美カップルは同じ部屋にいて二人とも携帯電話を使い、それぞれの友達と話したってこと。


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