バウンス・ベイビー!

「色々声かけてみるよ。藤さんも、連絡先知ってるやつがいたら声かけてみて」

 じゃあ夜にまた、連絡する!そう言って、吉田君は校庭へと走って行ってしまう。私は嬉しい展開に笑顔のままで高校をあとにした。

 やっぱり寒いし、電車で帰ろう。そして親に謝って・・・化粧もしなおさなきゃ!


 吉田君にも「誰かいたら」って言われていたし、同じクラスでなきゃダメってことはないらしいし、ということで、私は電車から降りてから、時間を確かめてスマホで平野へ電話をする。

 今は15分の休憩時間があるあたりだ。運がよければ出てくれるかも―――――――・・・

『はい?』

 平野が出て、私はよし、と拳をかためた。うまく捕まえられた~!

「藤です。今休憩?」

 つい他人行儀になってしまうのは、仕方がないことだ。だってこの間まで、出来るだけ会いたくなかった他人だったのだから。平野は向こう側でうんと言う。

『法事もう終わったのか?晩ご飯は実家で食べるんだろ?』

 多分そうなるよーといっていたのを覚えていたらしい。私は歩きながら薄いスマホを握りなおして、それがねと話し出す。

「食事場所が高校の近くでさ、懐かしいから帰りに寄って見たの。そしたら何と同級生に会ってさー!平野覚えてる?うちのクラスの吉田君」

『―――――うん』

 一瞬の間があったけれど、それはきっと記憶を探っていたからであろうと私は思った。


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