バウンス・ベイビー!


「それで今晩、地元に残ってる高校の子らで飲まないかって誘われたんだ。平野、仕事上がってからこれない?電車一本でしょ」

 平野が来てくれたら、帰りも一緒できる、そう思った私は弾んだ声で言う。だけどしばらく黙ったあとで、平野が聞いた。

『飲み会・・・藤を誘ったのって、吉田?』

「そう」

『他には誰が来るって?』

「まだ知らない。さっきのことなのよ。それで、私にも連絡先知ってる同級生がいたら声かけてくれって、吉田君が」

『吉田が』

「うん」

『俺に電話するって吉田に言った?』

「え?いや、その時はそんなこと考えてなかったから、言ってない。もしかしたら仕事上がりにこれるかもってさっき思って・・・」

 何なのだ、一体、この流れは?私は怪訝に思って首を捻る。すらっと誘ったんだから、すらっと返事してくれたらいいのにさ。微妙な気持ち悪さを感じて私の口調は険しくなる。

「平野、都合悪い?今晩忙しい?」

 中々ヤツが返事をしないので私から聞いてみる。するとうーん、とちょっと唸り声がして、平野が言った。

『時間はあるんだけど・・・俺今日ちょっと熱っぽいかも。そんなこと高峰リーダーには言えないから、今日は真っ直ぐ帰って大人しく寝とくよ。明日もバイトだし』

 え。

 私は驚いて言葉が出なかった。熱?さっきまで元気そうだったけど?


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