バウンス・ベイビー!


 いいや!平野のことは、今日は忘れてしまおう!もしかしたら本当に風邪引きかけなのかもしれないじゃない?だから考えた結果、飲み会はパスだな、って思ったのかもしれないし。私は久しぶりの人達と積もる話をして、楽しくお酒を飲もう!よし!

 きっぱりとそう決めて、それから私は急いで立ち上がった。

 金銭的に寂しいということに気がついたので、怒らせてしまった両親を宥めて、ついでにお小遣いを貰う為に。


 かんぱーい!そう声が店に響いて、それぞれが中ジョッキをぐいーっと飲みだす。

 それから、ぷはーっ!と息を吐くのまで一緒。集まった同級生6人で、あまりにも同じだって笑い合う。

 約束の時間に荷物を持って高校の最寄の駅前にいった私に、既に集まっていた懐かしい顔ぶれが手を振っていたのだった。そしてあとのメンバーはよく飲み会もしているらしく、全体的に私に質問や注意が集中した状態で吉田君が見つけてくれた居酒屋へと移動したのだ。

 仕事何してるの?今どこに住んでる?誰かとコンタクト取ってる?ねえ、あの子のこと覚えてる?

 私は忙しいな、と思いながらもあっちこっちに顔をむけては質問に答える。合間に相手に対しての質問も投げかけたけど、それは本人ではなくて周囲が答える始末。

 それによると皆正社員で働いているらしい。この不景気の世の中で、頑張ってるよね、って話す。

「ほんと久しぶりだよね、6年ぶり?藤さんってそんなに変わってないけど、なんかしっとり落ち着いた感じになったよ!大人になったっていうか」



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